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日経平均株価の予想は当たるのか検証してみた(1)【日経新聞「経営者に聞く/私の見方」の予想の場合】

毎年、年始(1月3日が多い)の日本経済新聞に特集「経営者40人に聞く/私の見方」として、その年の日経平均株価の高値・安値とその達成時期の見通しに関する有名企業経営者へのアンケート結果が載っている。
遅くとも1970年以降、毎年、そのアンケート結果が日経新聞紙上に載ってはいるが、その結果を検証した人または資料は、私が知るかぎり無い。そこで、彼らの予想はどの程度当たっていたのか検証することにした。

結論:1970年から2011年までの過去約40年分の予想内容を検証した結果、彼らの予想はほとんど当たらない、ということが判明した。

■検証手順

毎年、企業経営者や有識者が日経新聞「経営者・有識者40人に聞く/私の見方」のアンケートに回答している。これは二種類のアンケートからなっており、一つが日経平均株価の見通し、もう一つが景気の見通しである。ここでは日経平均株価に対するアンケート結果のみを取り上げ検証対象にする。
さて、そのアンケート内容だが、「その年の日経平均株価の高値・安値とその時期」「その判断理由」「有望銘柄」「有望業種」があり、この中の、日経平均株価の高値・安値とその時期の予想のみが検証対象となる。

回答者の中には、特定の高値・安値や時期を答えるのではなく、範囲を答えている場合がある。その場合にはその範囲の平均を予想とみなした。

検証対象期間は1970年から2011年までである。

■検証結果

◎年足チャートによる、高値・安値予想およびその時期の予想と実際の日経平均株価の比較

日経平均株価の年足チャートに各経営者の予想値を重ねたのが下図(クリックで拡大。以下同様)である。ローソク足が実際の日経平均株価の年足、赤い点が経営者の高値予想、青い点が安値予想、水色とピンクの×印が実際の高値・安値である。また、高値・安値を付けた時期の予想結果も同時に検証できるように、各ローソク足の左端が1月、右端が12月になるように点を打っている。

この図から明らかなように、毎年毎年、高値・安値の予想がものの見事に外れ続けていることがわかる。また、ほとんどの年で、予想の方が実際の株価より高いことから、その年の株価に対して楽観的な見方をしていることがわかる。バブル崩壊後は楽観的な予想をしても毎年のように外れて続けているが、楽観的な予想を改める気配は無いようだ。結局のところ日経平均株価を予想しているのではなく、こうなってほしいという希望株価を答えているだけなのかもしれない。

そもそも各企業の株価や高値・安値を付ける時期を予想すること自体がほとんど不可能なので、日経平均株価の予想などどだい無理な話である。
どれくらいの人がこの予想を基に投資するのか知らないが、この予想を信じて投資すると高い授業料を払うことになるだろう。
日経新聞「経営者・有識者に聞く/私の見方」による今年の日経平均株価 高値・安値予想(年足チャートによる検証結果)



◎月足チャートによる、高値・安値予想およびその時期の予想と実際の日経平均株価の比較

年足チャートを見ただけでも予想は当たっていないことがわかるが、月足チャートを見てみるとより詳細に外れ具合を知ることができる。
以下の図は、10年単位の月足チャートに各経営者の予想結果(高値・安値とその達成時期)を重ねた結果である。
日経新聞のアンケートでは高値と安値、およびその時期を答えているので、各回答者の予想範囲が明確にわかるように高値と安値の回答同士を直線で結んでプロットしている。
日経新聞「経営者・有識者に聞く/私の見方」による今年の日経平均株価 高値・安値予想(年足チャートによる検証結果[1970年代])


日経新聞「経営者・有識者に聞く/私の見方」による今年の日経平均株価 高値・安値予想(年足チャートによる検証結果[1980年代])


日経新聞「経営者・有識者に聞く/私の見方」による今年の日経平均株価 高値・安値予想(年足チャートによる検証結果[1990年代])


日経新聞「経営者・有識者に聞く/私の見方」による今年の日経平均株価 高値・安値予想(年足チャートによる検証結果[2000年代、2010年代])

これらの月足チャートを見ると、毎年毎年、ほとんどの経営者が、安値を付ける時期を年前半(1~3月が多い)、高値は年後半(12月が圧倒的に多い)と予想している。バブル崩壊前までは毎年のように株価が右肩上がりであったのでこの予想は納得できるし、実際そのような傾向が見られていた。しかしバブル崩壊後は高値や安値を付ける時期がバラバラになる傾向にあるが、経営者による予想は、いまだにバブル崩壊前の傾向を引きずっているようだ。

実際のところ、高値や安値を付ける時期は何月が多いのか調べたのが下のグラフである。実際の日経平均株価が高値・安値を付けた時期、および、経営者が予想した時期、をそれぞれ集計しグラフを作成した。
なお、バブル崩壊前と後で高値・安値を付ける時期が変わったのか調べるために崩壊前後で別々に集計している。

実際の安値を付けた時期を見てみると、バブル崩壊前(オレンジ色のバー)では1月が圧倒的に多かったが、崩壊後(赤いバー)は10月~12月で若干多い傾向が見られる。一方、経営者の予想結果を見るとバブル崩壊後も相変わらず年前半で安値をつけると予想する回答が多いようだ。
日経新聞「経営者・有識者に聞く/私の見方」による今年の日経平均株価 高値・安値予想(安値を付ける時期の頻度)

実際の高値を付ける時期は、バブル崩壊前(オレンジ色のバー)では12月が圧倒的に多かったが、崩壊後(赤いバー)は年前半に付けることが若干多い傾向が見られる。一方、経営者の予想結果を見ると、安値の場合と同様、バブル崩壊後でも12月を予想する回答が圧倒的に多い。
日経新聞「経営者・有識者に聞く/私の見方」による今年の日経平均株価 高値・安値予想(高値を付ける時期の頻度)



◎高値・安値とその時期の予想誤差

上では年足・月足チャートで経営者による予想と実際の日経平均株価を比較した。ここではその予想と実際の日経平均株価との誤差を示す。

下図は、高値・安値の予想値と実際の日経平均株価の高値・安値の間の誤差の平均をプロットしたグラフである。各点の上下に付いているひげのようなものは誤差の標準偏差である。

バブル崩壊後以降、誤差が大きくなっていることがわかる。それだけ予想が難しくなったということなのだろうか。
また、高値より安値の予想値の方が誤差が大きい傾向があることから、安値の予想の方が実際の株価から外れる程度が大きいことがわかる。
日経新聞「経営者・有識者に聞く/私の見方」による今年の日経平均株価 高値・安値予想(高値・安値の予想値と実際の日経平均株価の間の誤差)

下図は、高値・安値を付ける時期の予想の平均と実際に高値・安値を付けた時期をプロットしたグラフである。
1980年以降になると経営者の予想結果が年前半・年後半に偏る傾向が見られる。すなわち、多くの経営者が、高値の予想時期は年後半、安値では年前半と予想している。要するに経営者の予想にはハーディング行動が見られるということか。
日経新聞「経営者・有識者に聞く/私の見方」による今年の日経平均株価 高値・安値予想(高値・安値を付ける時期の予想値と実際に付けた時期)

下図は、高値・安値を付ける時期の予想の平均と実際に付けた時期の誤差をプロットしたグラフである。
バブル崩壊後以降は崩壊前に比べて予想時期の外れ幅が大きくなっていることがわかる。
面白い事に、周期的に予想誤差が0に近づく傾向が見られ、その周期はおよそ5年である。これを実際の投資戦略に利用できるかどうかはわからないが。
日経新聞「経営者・有識者に聞く/私の見方」による今年の日経平均株価 高値・安値予想(高値・安値を付ける時期の予想値と実際に付けた時期の間の誤差)



■経営者は何をもとに高値と安値を予想しているのか

実際の経営者がどのように日経平均株価の高値と安値を予想しているのか、私にはわからない。独自の手法で予想しているかもしれないしアナリストレポートの受け売りなのかもしれないが、本当のことは各経営者に聞いてみないとわからない。

その代わり、ここでは、経営者による予想は何に基づいているのか、重回帰分析を用いて調べてみる。

そのための前提として、経営者は前年の日経平均株価に基づいて高値と安値を予想している、とする。
すなわち、次のようなパラメータを基づいて予想していると仮定し分析を行う。

・年換算したヒストリカル・ボラティリティ
・年足の終値と始値の比(=終値÷始値)
・年足の高値と安値の比(=高値÷安値)
・年足の高値と始値の比(=高値÷始値)
・年足の安値と始値の比(=安値÷始値)

これらのパラメータを用いて、毎年の予想値(高値または安値)とその前年の終値の比(=予想値÷終値)を重回帰分析で求めた。
その結果、予想値を求める重回帰式として以下の式が得られた(注)。

・高値の予想値=【1.57-0.48×(終値/始値)-0.29×(高値/安値)+0.89×(高値/始値)-0.62×(安値/始値)】×終値

・安値の予想値=【1.04-0.13×(終値/始値)-0.13×(高値/安値)+0.16×(高値/始値)】×終値

毎年公表されるアンケート結果を見なくても、上の式を用いれば、経営者がどのような高値・安値を予想するのか、推測することができる。
逆の表現をすれば経営者はこのような単純な式に基づいて、その年の高値・安値を予想しているとみなすこともできる。

この回帰式を用いた場合、経営者の予想値をどの程度推定できるのか確認してみた(下図)。赤と青の点が経営者の予想値、黒い十字と水色の十字がそれぞれ高値・安値の重回帰式による推測値である。
比較的よく予測できていることが分かる。
日経新聞「経営者・有識者に聞く/私の見方」による今年の日経平均株価 高値・安値予想(高値・安値の予想値と重回帰式による推定値[年足チャート])

上図の結果をまとめたのが下図のグラフである。経営者による予想値と実際の株価の間の誤差の平均および重回帰式による予測値と実際の株価の間の誤差の平均をプロットしている。両者が非常に一致していることから、この重回帰式の予測能力は高いことがわかる。
日経新聞「経営者・有識者に聞く/私の見方」による今年の日経平均株価 高値・安値予想(高値・安値の予想値と実際の日経平均株価の間の誤差)


注:専門的な話だが、重回帰分析の際、有意な係数を持つ独立変数のみ重回帰式に組み込むようにした。ヒストリカル・ボラティリティが回帰式に含まれていないのは、その係数が有意ではなかったためである。


■付録1

上述したように「経営者に聞く/私の見方」のアンケート結果には、経営者が選んだ有望銘柄も載っている。参考までに10年ごとの有望銘柄ランキング(上位5銘柄)の推移を示す。古い企業が多すぎるような感じがする。有望な新興企業が生まれていないということなのだろうか。

・1970年

 1位:日立製作所
 2位:松下電器産業
 3位:大和ハウス工業
 4位:三井不動産
 5位:日本ナショナル金銭登録機(注:日本NCRの前身)

・1980年

 1位:日本電気
 2位:富士通
 3位:シャープ
 4位:松下電器産業
 5位:東京芝浦電気(注:東芝)

・1990年

 1位:清水建設
 2位:三菱重工業
 3位:三井物産
 4位:三菱商事
 5位:ソニー

・2000年

 1位:NTT
 2位:ソニー
 3位:NTTドコモ
 4位:NTTデータ
 5位:トヨタ自動車

・2010年

 1位:信越化学工業
 2位:コマツ
 3位:三菱商事
 4位:三井物産
 5位:ホンダ


■付録2

バブル崩壊直前(1990年)のアンケートを見ると、1990年の高値として48、000円台を予想していた経営者が2人いた。
彼らの予想とその根拠を参考までに(歴史的な意味で)示しておく。

アサヒビール社長:樋口広太郎
高値:48,100円(12月)
安値:38,000円(1月)
根拠:大型景気と株式需給関係の良さが持続。基本的には業績相場だが、東西融和関連、日米構造協議関連、M&A関連の材料株を交えた全体底上げ型の循環物色相場となろう。

日本ハム社長:大社義規
高値:48,000円(12月)
安値:38,000円(2月)
根拠:根強い個人消費と活発な設備投資、物価安定の下支えもあり景気は引き続き好調を持続しよう。懸念されるのは人手不足の深刻化と米国経済の先行き不透明感ではなかろうか。衆院選の2月が安値圏で、多少の波乱はあろうが上昇基調が続く。


■付録3

参考のため、いくつかの図を追加しておく。

・高値および安値の予想と実際の日経平均株価の高値や安値の誤差のグラフ。このデータを基に上述した誤差平均の図を作成している。
nikkei-forcast-error.png


・日経平均株価の年足チャートと高値・安値の予想値(縦軸がログスケール):
nikkei-forcast-y-log.png


・1980年代の日経平均株価の年足チャートと高値・安値の予想値(縦軸がログスケール):
nikkei-forcast-m-1980-log.png


・日経平均株価の月足チャートと高値・安値の予想値:
nikkei-forcast-m-1970-2011.png


・高値・安値の予想値と回帰式による予測値(縦軸がログスケール):
nikkei-forcast-y-log-reg.png

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テーマ : 日経平均株価
ジャンル : 株式・投資・マネー

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